税金も社会保険料も高すぎるよ!どうしたらいいの?
マイクロ法人を作ると安くできるかもしれません
規模の拡大を目的としない、ひとり会社のこと
マイクロ法人を作り、事業の一部を法人に移すことで様々なメリットがあります。
もし税金や社会保険料が高いと感じているなら、マイクロ法人の設立を検討してみてはいかがでしょうか?
名前:スフィンクス(税理士)
税理士業界で、10年間経験を積んだのち独立。
小規模事業者の経営支援や、法人化コンサルを中心に活動中。
私の詳しいプロフィールはこちらです。
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マイクロ法人を作るメリット
マイクロ法人を作ることで得られるメリットは、次のとおり。
- 社会保険料の節約ができる
- 所得税の節税ができる
- 消費税の節税ができる
- 代表取締役社長になれる
詳しく解説していきます。
社会保険料の節約ができる
マイクロ法人を作ると社会保険料を節約できます。
その理由は、入る公的保険の種類が変わるから。
日本では、全国民が何らかの公的保険に加入することになっています。(国民皆保険制度)
加入する公的保険は、会社員以外か会社員かで、決まります。
会社員以外 OR 会社員 | <加入する公的保険> |
会社員以外 | 国民健康保険と国民年金 |
---|---|
会社員 | 健康保険と厚生年金 |
個人事業主なら「会社員以外」なので、原則、国民健康保険と国民年金。
マイクロ法人を設立し、マイクロ法人から給料を受け取ることで「会社員」の立場になり、公的保険が健康保険と厚生年金に切り替わります。
そして、「健康保険・厚生年金」の保険料は、法人から受け取る給料に応じて増減します。(給料が多い人は保険料も多く、給料が少ない人は保険料が少ない。)
つまり
マイクロ法人から受け取る給料を最低限にすれば、「健康保険・厚生年金」の保険料がめちゃ安くなる!
どれくらいの保険料になるの?
健康保険・厚生年金合わせて年間27万円程度(月2万円強)になります
<自分が払っている社会保険料の確認方法>
次の①+②で大体の社会保険料の年額が分かります。
①国民健康保険の月額の支払額 × 10
②世帯のうち国民年金を払っている人数 × 20万円
上記の計算結果が、27万円よりも大きければ、マイクロ法人で社会保険料を安くできます。
所得税・住民税の節税ができる
法人から受け取った給料については、給与所得控除という控除が適用されます。
給与所得控除の最低額は55万円。
つまり一旦法人を経由して、給料収入という形にすることで所得を55万円減らすことができます
<所得が55万円減った時の節税額>
課税所得 | 5% | 10% | 20% | 23% |
---|---|---|---|---|
所得税の節税額 | 27,500 | 55,000 | 110,000 | 126,500 |
住民税の節税額 (税率10%で固定) | 55,000 | 55,000 | 55,000 | 55,000 |
上記の通り、所得税の税率が高くなるほど、節税額は大きくなります
稼いでいる人ほど、節税効果があるってことね
消費税が免除になる可能性がある
売上1000万円を超えると、その翌々年から消費税を払わないといけません。
例)
2020年の売上が1,100万円 ⇒
翌々年の2022年から消費税を納める
逆に言えば、売上を1000万円以内に抑えていれば、消費税が免除に。
この制度をうまく使うと、売上の一部をマイクロ法人に移すことで、消費税が免除になる可能性があります。
例)
個人事業主としての売上:1,100万円
内訳(税理士収入900万円・コンサル収入200万円)
⇒売上が1,000万円を超えているので、消費税払う
コンサル収入200万円を法人に移すと
個人事業主としての売上900万円
⇒売上が1,000万円以下なので、消費税を払う義務なし
※2023年10月からインボイス制度が始まると、消費税免税のメリットが薄れてしまう人も多いです。
インボイスについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
代表取締役社長になれる
マイクロ法人を作ると、代表取締役社長という肩書を得ることができます。
※株式会社なら「代表取締役社長」、合同会社なら「代表社員」という肩書になります。
ひとり会社でも社長って名乗っていいの?
もちろんです。社長の肩書きに会社の規模は関係ありません
- 事業の信頼性が高くなり、新規顧客を獲得しやすくなる
- 良い外注先が見つかりやすい
- 同窓会で名刺を配ると、人気者になれる
ちなみに外から見て、ひとり会社であることは基本分かりません
マイクロ法人を作るデメリット
マイクロ法人を作るデメリットは次の2つ。
- 個人と法人、両方の経理・確定申告が必要
- 法人の確定申告が、個人事業主より難しい
マイクロ法人を作ると、個人事業主と法人、別々で事業をするので、今までよりも事務の手間が増えます。
また、法人の確定申告は、個人事業主より難易度が高く、専用の税務申告ソフト(有料)が必要です。
そのため、最低でも確定申告部分だけは、税理士へ依頼するのが現実的です。
マイクロ法人にかかる費用は?【設立費・税理士費用】
マイクロ法人かかる費用は、次の通りです。
<法人設立時だけかかる費用>
設立費用 | 約20万円 (合同会社の場合は約7万円) |
印鑑などの消耗品 | 約1万円 |
<毎年かかる費用>
住民税の均等割り | 約7万円 |
税理士費用(外注する場合) | 10万円~30万円 |
会計ソフト代 (クラウド会計ソフトを使う場合) | 数万円 |
上記の費用以上に、社会保険料や税金を節約できるなら、マイクロ法人をつくる価値があります。
マイクロ法人設立の手順
法人設立前に
法人を設立する前に、会社名、法人の種類など色々と決めるべきことがあります。
詳しくは下記をご参照ください。
いよいよ法人設立
会社名、法人の種類などが決まったら、法人設立手続きです。
法人の設立方法は次の2択。
- 司法書士に頼む
- 自分で設立する
時間があるなら自分で設立してみるのがおすすめ。
マネーフォワード会社設立や会社設立freeeを使えば、簡単に必要な書類が作成でき、費用も安く済みます。
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各種届出をする
法人を設立したら、税務署に「法人設立届出」を提出します。
都道府県・市町村にも法人設立届出を提出します。詳しくはお住いの自治体のホームページで確認してください。
税務署には「青色申告の申請書」も必ず提出しておきましょう。
(赤字の繰越ができるなど、メリットが大きいため。)
また、社会保険を安くするには、年金事務所に社会保険の届出が必要です。
こちらも忘れないようにしましょう。
法人の銀行口座開設
無事設立できたら、法人名義の銀行口座を開設します。
法人名義の銀行口座は、売上の入金口座として必ず必要です。
最近は口座開設の審査が厳しくなってきています。
不安なら資本金は最低でも100万円程度にすることをおすすめします。
関連記事:マイクロ法人の法人口座はPAYPAY銀行がおすすめな理由【2022年版】
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事業の収入を、法人の収入にする
外から見て、「この事業の収入は、法人の収入です」と主張できるようにしておきます。
具体的には
- 得意先と法人名義で契約
- 法人名義で請求書などの発送
- 法人口座に売上を入金させる
などが、考えられます。
個人事業主と法人が、ぐちゃぐちゃになるのは避けましょう
マイクロ法人の注意点
マイクロ法人運営の際は、下記のことに気をつけてください。
- 法人から受け取る給与は最低限に
- 法人に売上を移しすぎないこと
- 個人事業主と法人で違う事業をすること
法人から受け取る給与は最低限に
マイクロ法人を作る目的の一つは、社会保険料を安くすること。
社会保険料を安くするためには、法人から受け取る給料を最低限にする必要があります。
具体的には月額4万5千円(年間54万円)が社会保険料が最低額になり、給料の控除(最大55万円)も受けられるおすすめの金額です。
マイクロ法人に売上を移しすぎないこと
売上をマイクロ法人に移しすぎると、法人に利益が残って法人税がかかります。
上記の給料や、マイクロ法人の維持費を合わせると年間経費は70~80万円程度。
利益が残らないように、マイクロ法人の売上も70~80万円程度にしておくのがおすすめです。
赤字になっても大丈夫なの?
節税目的の会社なので赤字でも大丈夫です。詳しくはこちら。
個人事業主と法人で違う事業をすること
個人と法人は違う事業をしましょう。
同じ事業をしてしまうと、税務署から「法人に実態がないのでは?」と言われてしまいます。
※実態がない法人を利用して、所得を分散する行為は禁止されています。
法人と個人は、下記のように違う事業を行いましょう。
<具体例>
- 個人は税理士業 法人はコンサル事業
- 個人はプログラミング業 法人はマーケティング事業
- 個人は不動産賃貸事業 法人は不動産管理事業
メインの事業を個人事業主で計上し、副業をマイクロ法人でするのが良いでしょう
関連記事:マイクロ法人が違法になる「個人と同じ事業をしてはいけない問題」を解説
青色事業専従者給与
家族に「青色事業専従者給与」を支払っている方は要注意。
社会保険料を最低限(年間26万円程度)に減らすには、家族を健康保険・厚生年金の扶養に入れる必要があります。
健康保険・厚生年金の扶養に入るためには、家族の収入を年間130万円以内に抑えないといけないため、青色事業専従者給与の支給額の見直しをしなければいけません。
IDECOの限度額が変わる
マイクロ法人を設立すると、会社の役員になるため、IDECOの限度額が変わります。
具体的には、個人事業主の限度額68,000円から、会社員の限度額23,000円に代わります。
変更手続きも必要ですので、IDECOをしている方は気をつけてください
マイクロ法人のよくある質問 Q&A
マイクロ法人で税理士費用を抑えたいなら
マイクロ法人で社会保険料を安くできても、税理士費用の方が高かったら意味がありません。
ですので、できることは自分でしつつ、難易度が高い部分のみ依頼して、税理士費用を抑えるのがおすすめです。
具体的にはどうすればいいの?
税理士へ支払う報酬には毎月支払う「顧問料」と年1回だけ支払う「申告料(決算料)」があります。
日々の経理や事務を全て自分で行えば、毎月支払う「顧問料」を節約できる可能性は高いです。(税理士によりますが。)
なので、もし可能なら日々の業務は自分で行い、年1回だけマイクロ法人の確定申告を依頼して税理士費用を節約しましょう。
弊社では年1回だけ確定申告のみご依頼いただく場合も、「回数制限なし、追加料金なしのチャットサポート」をお付けしています。
そのため、初めててでも安心してマイクロ法人の運営をしていただけます。
詳しくはこちら⇒ 弊社のサービスと料金について
まとめ
マイクロ法人を作り、事業の一部を法人に移すと、社会保険料や税金の節約ができます。
マイクロ法人にかかる費用より、節約額が大きくなるなら一度検討してみてくださいね。
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