旅行で払った宿泊費や交通費。
できることなら、経費に落としたいですよね。
今回の記事では、 多数のお客様の旅行費用を経費処理してきた税理士が 旅行費用の経費性について、語ります。
- 旅行を経費にするために、どうすればいいか
- 経費にしやすい旅行とは?
- 家族旅行を経費にできるか?
税理士業界で、10年間経験を積んだのち独立。
小規模事業者の経営支援や、法人化コンサルを中心に活動中。
経費になる旅行費用とは?
旅行費用に関わらず、あらゆる経費に言えることですが、事業に関係のないものは経費にできません。
- 私的な旅行⇒経費にならない
- 事業に関係がある旅行⇒経費
と、ここまでの話では「そんなの分かってるよ!」という声が聞こえてきそうです。
それを分かったうえで、みなさまが知りたいのは、「どうすれば経費になるの?」ということではないでしょうか。
この疑問に対する回答は、こちら。
「事業に関係がある証拠」を作ること
証拠があれば、税理士も経理処理しますし、税務署から指摘されることもないでしょう。
証拠づくりの3つのポイント
ポイントは次の3つです。
- 旅行計画の段階で、事業に関係することを絡める
- 旅行中に、事業に関係があることをする
- その証明ができる書類を用意する
証拠づくりは、旅行計画をする段階で始まっています。
旅行が終わった後では、ほぼどうしようもありません。
旅行が終わった後にできるのは、事業に関係があるという主張だけ。(証拠がないので、税務署に疑われます。)
旅行を経費にしたいなら、まずはしっかりと計画を立て、事業に関係がある旅行にすることが大事。
具体的にどのような旅行費用が経費になるか見ていきましょう。
経費にしやすい研修旅行と視察旅行
最も経費にしやすい旅行は、視察旅行や研修旅行です。
その理由は、事業に関係するのが明確だから。
<研修旅行・視察旅行の例>
- 商品の展示会が沖縄で開かれるため、情報収集のため沖縄へ旅行した
- 中国からの輸入商品を検討するために北京へ旅行した
上記のような旅行は、事業との関係性が明らかなので、問題なく経費にできます。
ただし、研修や視察の証拠として、次のものを残しておきましょう。
- 現地で調達したセミナー等の資料
- 旅行の目的・日程・参加者・成果などをまとめた書類
でも、ぶっちゃけ中国や沖縄に行ったら観光しちゃうよね?
研修旅行や視察旅行に合わせて観光もした場合の取り扱いは、次のとおりです。
日程のほぼ全てが研修や視察 観光は合間にした | 宿泊費や交通費は 全額経費にできる |
研修や視察の後に 数日かけて観光した | 観光部分は 原則経費にできない |
<具体例1>
商品の展示会が沖縄で開かれるため、沖縄へ旅行
旅行日程は2泊3日
日程期間中はほぼ展示会に参加していて、観光は合間に少しだけ。
⇒飛行機代・ホテル代など全額経費にできる
<具体例2>
輸入商品の視察のため、北京へ旅行
旅行日程は4泊5日
前半の3日間は視察。後半の2日間は観光
飛行機代30万円 ホテル代20万円
飛行機代は、視察のために必須なので全額経費にできるホテル代は視察分(3日間)だけ経費にできる
⇒30万円+20万円×3/5=42万円を経費にできる
上記のような場合でも、後述の「慰安目的の社員旅行」に該当すれば、観光部分も経費にできます。
プライベートな旅行を研修や視察に見せかけるのはNG。
仮装隠ぺい行為になるため、税務署に見つかると重加算税という重い追徴税がかかります。
プライベートではないと言えるように、「研修や視察の証拠」を必ず残しておきましょう。
慰安目的の社員旅行
従業員の慰安が目的の社員旅行は、経費にできます。
なぜなら従業員の士気を高めること、従業員との親睦を深めることは、事業に関係があると言えるから。
ただし、あまりにも豪華な社員旅行や、限られた人しか行けない旅行なら従業員への給与とみなされる可能性があります。
- 従業員に所得税がかかる(事業主は源泉徴収が必要)
- 消費税の納税額が増える(消費税の計算上、控除ができない)
上記のようなデメリットがありますので、給与にならないように気をつけましょう。
国税庁のタックスアンサーなどを参考にすると、次のような旅行は給与になる可能性が高いです。
- 事業主の負担が、従業員一人当たり10万円以上
- 旅行の日程が4泊5日以上
- 旅行に参加する権利が、一部の従業員しかない
- 従業員の半数以下しか旅行に参加していない
家族旅行は経費にできる?
家族旅行は普通に考えれば、プライベートな旅行。
経費にはできません。
家族が従業員(家族に給料を払っている)でもだめ?
家族が従業員なら、「慰安目的の社員旅行」と言えなくもないです。
ですが、過去の裁判で家族従業員だけの社員旅行は、経費にしません!とはっきり言われています。
残念ですが家族だけの慰安旅行を経費にするのは、あきらめてください。
ただし、家族以外の人が参加するなら、上述の「慰安が目的の社員旅行」として経費にできる可能性はあります。
そして、家族だけの旅行ではないことを証明するために、証拠づくりは必ずしておきましょう。
- 参加者名簿
- 旅行日程表
- 旅行先での写真
まとめ:旅行費用を経費にするなら事前の計画が重要
旅行費用が経費になるか、ならないかは旅行を計画した時点で、ほぼ決まります。
- 研修旅行・視察旅行なら、事業に関係がある証拠を集められる?
- 社員旅行なら、家族以外の従業員の慰安が目的になってる?
上記に該当するような計画をたてましょう。
もし、旅行が既に終わっているなら、旅行の目的や成果をまとめた資料を用意しておくといいです。
ただし、ただの家族旅行を研修旅行などに見せかけるのは、重い追徴税がかかるのでやめてくださいね。
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