こんにちは。スフィンクスです。
税理士として約10年働き、たくさんの個人事業主の、お金の相談に乗ってきました。
今回は、個人事業主が経済的自由「FIRE」を達成するために何をすればいいのか、税理士目線で解説します。
- 経済的自由「FIRE」とは
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Financial Independence Retire Early
つまり、お金をたくさん持って早期リタイアすること
個人事業主(フリーランス)が経済的自由を達成するための条件は、次の4つです
- 固定費(税金・社会保険料)を減らす
- 売上を増やす
- 資産を増やす
- 効率のいい生活をする
「貯金が全然ない」「お金に詳しくない」という方でも、この4つの条件を達成できれば、FIREできます。
これらの条件を達成するための、具体的な方法を総まとめしました。
さっそく詳細を見ていきましょう!
固定費(税金・社会保険料)を減らす
個人事業主(フリーランス)のメリットは、税金と社会保険料をコントロールできること。
※サラリーマンなら、強制的に決められた税金と社会保険料が徴収されます。
このメリットを最大限に生かすための、具体的な方法を紹介します。
青色申告特別控除
青色申告をして、かつ複式簿記で帳簿を付けると、55万円を経費に入れることができます。
- 複式簿記とは?
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収入と支出だけでなく、財産の増減も記録する帳簿の付け方のこと
- 複式簿記で帳簿をつけるには?
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会計ソフトに取引を入力していけば、自動的に複式簿記の帳簿が完成します。
この制度の素晴らしいところは、実際に「お金が出て行っていない」のに、55万円を経費にできることです。
お金を動かさずに経費を増やす方法は、青色申告特別控除しかありません。
必要なのは、ほんの少しの手間と労力だけ。
それだけで税金が数万円〜数十万円安くなります。
小規模企業共済
個人事業主と会社経営者にのみ許された、最強の節税方法その1。
この制度を使えば、実質的な積立貯金を経費にできます。
<年間の積立限度額>
月額7万円×12ヶ月=年84万円
手持ち資金に余裕があるなら、真っ先に検討しましょう。
iDeCo
個人事業主と会社経営者にのみ許された、最強の節税方法その2。
こちらも実質的な貯金を、経費にすることが可能.
iDeCoはサラリーマンでもできます。
ただしサラリーマンは月額23,000円×12ヶ月=年276,000円しかできません。
個人事業主なら、月額6万8千円×12ヶ月=年816,000円まで経費にできます。
なお、60歳まで引き出せないデメリットがあるため、小規模企業共済より優先度は落ちます。
消費税の免除
実は、年間の売上が1000万円を超えるか・超えないかで天と地の差があります。
年間売上1000万円以下なら、消費税を払う義務が免除されるから。
もし、今年の売上が1000万円を少しだけ超えそうなら、あえて仕事をセーブして1000万円を超えないようにした方がいいかもしれません。
※普通に1000万円を超えてしまう場合は、諦めてください。
ただし、2023年10月から始まるインボイス制度により、消費税の免除制度が使いにくくなるので要注意です。
マイクロ法人設立で社会保険料を節約
- マイクロ法人とは?
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規模を大きくしない、ひとり会社のこと
マイクロ法人を作る理由は、社会保険料が節約できるからです。
個人事業主が支払う「国民健康保険」「国民年金」は、非常に高くなりがち(所得や家族構成にもよります)
マイクロ法人を作ると、社会保険料が半分以下に減らせる可能性があります。
- マイクロ法人を設立し、自分に少額の給料を払う。
- 給与所得者=会社員の立場を得る。
- 会社員になることで、「国民健康保険」「国民年金」⇒「健康保険」「厚生年金」に制度が切り替わる。
- 「健康保険」「厚生年金」は会社から受け取る給料で決まる。
⇒つまり、自分に支払う給料を少なくすれば、社会保険料を限りなく減らせる。…というわけです。
「国民健康保険や国民年金の負担が重い!」と感じている方は、ぜひマイクロ法人を活用してください。
マイクロ法人からの給料に、55万円の控除が適用
マイクロ法人のメリットは、社会保険料の節約だけではありません。
マイクロ法人から受け取った給料には、55万円の給与所得控除が適用されます。
この控除は給料をもらう人全員に適用される、いわば会社員の特権のようなもの。
個人事業主の特権を受けつつ、会社員の特権も享受できる
ふるさと納税
- ふるさと納税とは?
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実質2000円の負担で、特産品を受け取れる制度
ふるさと納税の限度額は、所得が多いほど高くなります。
事業が儲かっている人は、ふるさと納税だけで食費を賄えるかも。
デメリットはありません!
やらない理由を探すのが難しいですね。
自宅を事務所にする
事業の内容によりますが、可能であれば自宅を事務所にしましょう。
- 事務所を借りずに済む(事務所家賃が浮く)
- 通勤の費用が浮く
- 自宅の家賃の一部を経費に計上できる
- 家事ができるので、家族が助かる
- 子供と一緒にいる時間が増える
- 音の問題
- 打ち合わせ場所が別に必要
- 運動不足になりがち
- 人を雇えない
私は音対策として防音室を買いました。打ち合わせは喫茶店や、貸し会議室で対応しています。
売上を増やす
コロナ禍において、対面による営業が厳しくなっています。
飛び込み営業などしようものなら、クレーム間違いなし。
そんな厳しい時代でも、新規顧客を開拓する手段があります。
それはWEBマーケティングです。
- WEBマーケティングとは?
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ネットを使って集客すること
これからの時代は、対面での営業は減り、WEBマーケティングの重要性がますます高くなります。
売上を増やしたいなら、ぜひWEBマーケティングを検討してください。
- 自分の事業と相性が良い、マーケティング手法を選ぶ
- 信頼できる業者に頼む(時間がある人は、自分でやってみるのもあり)
WEBマーケティングの主な手法5つ
手法 | 内容 |
---|---|
SEO | 検索結果で上位表示させること |
SNS運用 | TwitterやFacebookなどのSNSから集客すること |
広告運用 | Google広告などの有料広告により集客すること |
リストマーケティング | 見込み顧客リストを獲得し、メルマガやLステップで行動を促すこと |
ウェビナー | ウェブ上でセミナーをして、集客すること |
資産を増やす
事業で稼いだお金を、ただ銀行口座に寝かせておくのは余りにも損です。
投資家が労働者から搾取するのが、資本主義。
理不尽な資本主義社会で搾取されないためには、自らが投資家になるしかありません。
投資は次の3つのSTEPで始めてましょう。
年間の元手40万円を限度に、利益から税金を取られることなく投資信託を運用できます。
※本来は運用で得た利益に、20.315%の税金がかかります。
積立NISAの投資信託で売却損が出た場合、他の証券口座で出た売却益と相殺できません。(通常の特定口座の場合は、相殺できます)
積立NISAでは選べる銘柄が、国が認めた手数料が安い優良ファンドに限定されています。
自分のリスク許容度にあったファンドを選びましょう。
※STEP2でおすすめするインデックスファンドも、選択可能。
積立NISAを限度額まで使ったら、特定口座でインデックスファンドに積立投資しましょう。
- インデックスファンドとは
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特定の株価指数(例えば日経平均など)に連動して値動きする投資信託
インデックスファンドに積立投資をおすすめする理由は、コツコツ積み立てるだけで投資素人でも、プロ並みの運用成果が出せるからです。
- SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
これらは株の知識が全くなくても始められる、超優良ファンドです。
インデックスファンドに投資すれば、ある程度のリスクヘッジはできます。
ただし、株式全体がダメになってしまう可能性もなきにしもあらず。
未来は誰にも予測できません。
インデックスファンドにある程度投資ができたら、債券、不動産、金なども含めてポートフォリオを組んでみましょう。
仮装通貨、FXなどギャンブル性が高いものはやめておきましょう。
素人が手を出して、勝てるわけがありません。
運良く1度勝てたとしても、勝ち続けるのは不可能です。
効率が良い生活をする
経済的自由「FIRE」達成の最後の条件は、「効率が良い生活をすること」です。
「効率が良い生活」とは、単純に「コスパが良い生活」を指すわけではありません。
コスパはもちろん大切ですが、もっと大切なのは「効率良く幸せになること」です。
「コスパ面」「コスパ以外の面」合わせて、「効率良く幸せになる方法」をまとめました。
家を買うなら、値下がりしにくいもの
家を買うなら値下がりしにくい、都市部のマンションがおすすめ。
ただし、都市部の新築マンションは、庶民には手が付けられない金額まで、価格が高騰しています。
計画性もなく、高額の住宅ローンを組むのは危険です。
無理をせず、中古マンションも検討してみましょう。
できるだけ人口が多いエリアで、駅から近いマンションがおすすめ。
一軒家はリセールバリューが下がるので、おすすめしにくいのですが、次の場合は、検討する余地があります。
- そもそもマンションがない地域に住んでいる
- そこに永住する覚悟がある(一生住むなら、リセールバリューを気にする必要はありません)
車は買わない(都市部)
車を所有すると、維持費がばかになりません。(例:駐車場、保険、車検、税金など)
都市部に住むなら、カーシェアリングで十分でしょう。
見栄のために、お金を使わない
家、車、時計、服、ブランドなど、見栄を張りだすと、無限にお金がかかります。
見栄を張って得られるものは、他人から羨ましがられることで、脳内に発生するドーパミンだけです。
ドーパミンは中毒性があります。
見栄を張ることに一度はまると、中々抜け出せません。
見栄のためにお金を使うのは、経済的自由から最も遠い行為です。絶対にやめましょう!
無駄な保険は入らない
保険は「可能性は少ないけど、起こると大変なダメージを受けるもの」にかけるべきです。
具体的には
- 掛捨ての定期保険
- 先進医療特約付きのがん保険
で十分かと思います。
また、保険で貯蓄するのは、おすすめできません。※保険会社に中抜きされるだけ。
貯蓄型保険に入るお金があるなら、インデックス投資に回しましょう。
老後の生活資金
個人事業主には、最強の節税方法「小規模企業共済」「IDECO」があります。
この2つをコツコツ積み立てていれば、引退時に相当な額になっているはずです。
例)
- 小規模企業共済 年間84万円
- IDECO 年間816,000円
を20年積み立てた場合⇒ (840,000円+816,000)×20年=約3,300万円
また、「小規模企業共済」「IDECO」を引退時に解約すると、「退職金」扱いとなり、税金上も有利になります。
「小規模企業共済」「IDECO」の解約金をベースに、インデックス投資を年4%以内で取り崩して生活資金に充てます。(定率で取り崩し。)
定率4%以内の取り崩しなら、元本が減らない可能性が高いです。
「小規模企業共済」「IDECO」「インデックス投資」をコツコツ積み立てていれば、老後は盤石
借金しない(リボ払いも絶対ダメ)
借金をする=金利を敵に回すことになります。
経済的自由を達成するためには、金利を味方にしないといけません。
敵は早めに退治しておきましょう。
- 事業拡大のための借金はしない
- ローンで車を買わない(カーローンは金利が高い)
- クレジットカードのリボ払いは絶対しない(借金してるのと同じです)
- 住宅ローンは繰り上げ返済をしていく(ローン控除が終わったら)
事業拡大のための借金は、ハイリスク、ハイリターンです。
経済的自由「FIRE」を目指すなら、大原則として「ハイリスク」は避けるべき。
ローリスク、ローリターン。もしくはローリスク、ハイリターンを狙っていきましょう。
(注)事業拡大のための借金自体を、否定しているわけではありません。 事業の目的が、事業規模を大きくすることなら、借入をすべきです。
身体とメンタルを大切にする
個人事業主は身体が資本。
身体を健康に保つ事が、FIREの大前提であり、最低条件です
- 3ヶ月に一回、歯医者に行く
- 1年に一回、健康診断に行く
- タバコをやめる
- お酒はほどほどに
- 定期的な運動習慣を作る
メンタルも大切です。
個人事業主は孤独になりがち。
一人で抱え込んで、メンタルがやられてしまうことも・・・
信頼できる相談相手を、普段から持っておきましょう。
事業やお金の相談は、ぜひ税理士にしてくださいね。
一生楽しめる趣味を3つ探す
経済的自由を達成した未来を想像してください。
「お金」も「時間」もある。
やろうと思えば、何でもできる。
でも20年後の自分が、一から趣味を始めるって大変だと思いませんか?
趣味を新しく始めるのも、若い方が有利です。
エネルギーがあるうちに、一生涯の趣味を3つ見つけることをおすすめします。
人生が偏らないようにするため
例えば、一人でできる「陶芸」だけを一生の趣味としてしまったら、孤独な人生を歩んでしまうかもしれません。
偏らないためにも、次のように違った種類の趣味を持つのがおすすめ。
- 仲間と楽しめるもの
- 一人でも楽しめるもの
- 身体を動かすもの
趣味は人生に、彩りを添えてくれます
家族と友人を大切にする
経済的自由が達成できれば、時間とお金に縛られない人生が待っています。
でも自分だけ時間とお金があっても、意味がないですよね?
「趣味」「旅行」「おいしいご飯」何をするにも共有できる人間がいなければ、つまらないです。
人間の幸せの全ては、対人関係に宿ります。
今いる家族や友人を、大切にしてくださいね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
みなさまのFIREへの道を、心から応援しています。
そして「個人事業主のFIRE応援」が私の経営理念ですので、事業やお金のことは、ぜひご相談ください。
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