ツタンカちゃん
コロナで業績が悪くなって役員報酬が払えないよ・・・
役員報酬は未払いなら経費に入れることはできないの?
役員報酬は未払いなら経費に入れることはできないの?
スフィンクス所長
未払いでも経費に入れることは可能ですが、注意が必要です。
今回の記事では
役員報酬を「未払い計上」した場合に、経費に入れられる?
について解説します。
スフィンクス所長
この記事を書いた私のプロフィールはこちらです。
目次
役員報酬を未払い計上しても経費に入れられる場合
前提:役員報酬が経費になる条件
役員報酬を経費に計上するには次の3つの条件があります。
役員報酬を経費に計上する3つの条件
- 毎月
- 同額を
- 支給すること。(定期同額給与と言います。)
例えば、「毎月25日に30万円を役員に支払ってる」なら、問題なく経費に計上可能。
半年に1回しか払わなかったり、支給額が毎回違うと経費に計上できなくなります。
役員報酬を未払い計上しても経費に入れられる場合
ツタンカちゃん
じゃあ未払いなら、払ってない(=条件③を満たさない)から経費にならないんじゃない?
スフィンクス所長
上記の「条件③ 支給」については、「実際に払っているか」ではなく、「支払時期が到来しているか」で判定します。
つまり、支払時期が到来している役員報酬を未払い計上した場合は、「条件③ 支給」を満たすのです。
つまり、支払時期が到来している役員報酬を未払い計上した場合は、「条件③ 支給」を満たすのです。
役員報酬を未払い計上する場合の注意点
役員報酬を未払い計上した場合でも、経費にできます。
ただし次のことに注意してください。
未払い計上の注意点
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なるべく短期間で支払う
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源泉所得税の徴収時期
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長期間払えないなら、役員借入金にうつす
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やむを得ない事情がないなら、未払いにしない
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遡って未払い計上する脱税行為はできない
なるべく短期間で支払う
役員報酬を未払い計上したなら、資金繰りの都合がつき次第、早めに支払うようにしましょう。
役員報酬が未払いでも経費に計上できるのは、資金繰りなどのやむを得ない事情で、一時的に未払いになっているときだけ。
もし長期間にわたって未払いのままだと、払う意思なしとみなされる可能性あります。
払う意思がないとみなされると、役員報酬を経費に計上できなくなります。
源泉所得税の徴収時期
役員報酬から徴収する所得税については、役員報酬を実際に支払う都度徴収します。
したがって、未払い計上した時点では所得税の徴収は不要。
資金繰りの都合がつき、実際に役員報酬を支払ったときに所得税を徴収してください。
長期間払えないなら役員借入金にうつす
未払い計上した役員報酬はなるべく短期間で支払うのが理想ですが、資金繰りが悪く、長期にわたって未払いになってしまうことも・・・
この場合は一旦、未払金を役員借入金に振り替えることをおすすめします。
ツタンカちゃん
未払金を役員借入金に?
スフィンクス所長
会社が役員からお金を借りて、そのお金で役員報酬を支払ったという形にします。
役員報酬を30万円未払い計上していたが、資金繰りの都合がつかず、役員借入金に振り替えた場合、次のように考えます。
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会社が役員から30万円のお金を借りる
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そのお金で役員報酬の未払い金30万円を支払う
こうすれば未払金がなくなり、代わりに役員借入金が30万円残ります。
資金繰りの都合がついたときに、役員借入金を返済してください。
スフィンクス所長
なお、役員借入金に振り替えた時点で役員報酬を支払ったことになりますので、源泉徴収が必要です。
やむを得ない事情がないなら未払いにしない
資金繰りの都合がつかない、などやむを得ない事情がないのに未払いにすると、そもそも払う意思がない?と税務署に疑われます。
払う意思がないとみなされると、上述のとおり役員報酬を経費にできません。
国税不服審判所に過去に次のような裁決があります。
<事例>
やむを得ない事情がないのに、役員報酬を未払い計上。
未払いの役員報酬は、数か月後にまとめて支払った。
<国税不服審判所の裁決>
まとめて支払った役員報酬が、役員への賞与とみなされる。
(役員への賞与は、原則経費に入れることはできません。)
さかのぼって未払い計上する脱税行為はできない
役員報酬が未払い金計上できることを知ると、こう考える方も。
ツタンカちゃん
本当は役員報酬は30万円でずっと払ってきたけど、最初から50万円だったことにしましょう!
そうすれば差額の20万円×12ヵ月分の240万円を、未払い金で経費に入れれるわ!
スフィンクス所長
これは絶対にやめてくださいね。仮装隠蔽行為なので、非常に重い追徴金がかかりますし、すぐにばれます。
まとめ:未払いの役員報酬は経費にできるが注意が必要
役員報酬が未払いでも、経費に計上することはできます。
ただし、未払い計上したらできるだけ短期間に支払いましょう。
どうしても長期的に払えないようなら、役員借入金への振り替えを検討してください。
また、やむを得ない事情がないのに未払い計上すること、過去にさかのぼって未払い計上することはできませんので注意してください。