結局インボイスって何をしたらいいの?
最近、お客様からインボイスの相談を受けることが多くなってきました。
何かと話題のインボイスですが、制度がややこしく、結局どう対応したらいいのか見えてきません。
そこで、本記事では
- インボイス制度が始まると、何が変わるのか?
- インボイス制度のために、何を準備すればいいのか?
を、分かりやすく解説します。
名前:スフィンクス(税理士)
税理士業界で、10年間経験を積んだのち独立。
小規模事業者の経営支援や、法人化コンサルを中心に活動中。
私の詳しいプロフィールはこちらです
そもそもインボイス制度とは
- インボイス制度とは?
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事業者を登録する制度のこと。
登録した事業者は、「適格請求書(別名:インボイス)」の発行が義務付けられる
もし、登録しなかったらどうなるの?
登録をしなければ、取引先(お客さん)が払う消費税が増えてしまいます
消費税には「仕入税額控除」という、税金を安くする制度があります。
しかし、事業者登録をしていない業者から、モノやサービスを購入すると、原則「仕入税額控除」が使えません。
つまり、事業者登録をしないと、取引先の消費税が増えてしまい、迷惑がかかります。
そのため、インボイスが始まると、ほぼ全ての事業者が事業者登録をすることになります。
インボイス制度で、今までと何が変わる?
事業者には「売り手」「買い手」のそれぞれの立場があります。
それぞれの立場から、インボイス制度の影響を見ていきましょう
「売り手」として変わること
「売り手」として変わることは次の3点です。
- 事業者登録をする必要がある
- 適格請求書(別名:インボイス)を買い手に交付する
事業者登録の申請
事業者登録をするには、税務署への申請手続きが必要です。
インボイス制度自体は2023年10月から始まりますが、登録申請手続きは2021年10月から受付が始まります。
申請手続きは書類でもできますし、e-taxによる手続きもできます。
適格請求書(別名:インボイス)を買い手に交付する
- 適格請求書(別名:インボイス)って、どんな書類?
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「売り手」が「買い手」に正確な消費税の情報を伝えるための書類
「適格請求書」は必ずしも請求書である必要はなく、インボイスの記載要件を満たした書類を「適格請求書」として扱います。
※納品書などでもOKです。
具体的にどうやって「買い手」に交付するの?
新たに書類を作成する必要はありません。
「買い手」に今まで渡していた請求書などを、記載要件を満たす様式に変更すれば、適格請求書(インボイス)を交付したことになります。
- 「売り手」の氏名と、事業者の登録番号
- 取引年月日
- 商品が軽減税率の対象かどうか
- 税率ごとの商品の合計金額、及び適用税率
- 税率ごとの消費税額
- 「買い手」の氏名
「買い手」として変わること
「買い手」の立場で変わることは、次の2点です。
- 経理処理の仕方
- 適格請求書を交付できない取引先の確認が必要
経理処理の仕方
事業者が払う消費税の計算には「仕入税額控除」という、税金を安くする制度があります。
そして、この「仕入税額控除」は、適格請求書(インボイス)がないと適用できないのです。
つまり、正しく消費税を計算するためには、仕入や経費を、適格請求書が有るものと無い物で区別する必要があります。
<具体例>
A商品の仕入:500円 ⇒適格請求書あり
B商品の仕入:300円 ⇒適格請求書なし
経理上、A商品の仕入とB商品の仕入を区分しておく必要がある
適格請求書(インボイス)を交付できない取引先の確認が必要
「売り手」からもらった請求書等が「事業者の登録番号がない」などの、インボイスの記載要件を満たしていない書類だった場合は、
- 免税事業者のため、インボイスを交付できないのか?
- ただ単に、登録番号の記載が漏れているのか?
の確認が必要です。
もし②なら、「売り手」に登録番号が記載されたインボイスの交付を請求してください。
インボイス制度の準備
2023年10月からインボイス制度が始まりますが、
今のうちに準備しておきたいことを、「売り手側」「買い手側」それぞれの立場からまとめました。
「売り手」の準備
免税事業者のままだと、インボイスの事業者登録ができません。
取引先との関係に影響を及ぼす可能性があるので、課税事業者になるか検討が必要です。
詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
6つの記載要件を満たす書類を、適格請求書(インボイス)として扱います。
自社が発行する請求書・納品書などの書類のうち、どの書類をインボイスとするかを決めましょう。
記載要件を満たすための手間が、一番少ない書類を選ぶのがいいでしょう。
基本的には請求書が一番良いと思います
書類を選んだら、インボイスの記載要件を満たす様式に変更します。
記載要件は下記のとおりです。
- 「売り手」の氏名と、事業者の登録番号
- 取引年月日
- 商品が軽減税率の対象かどうか
- 税率ごとの商品の合計金額、及び適用税率
- 税率ごとの消費税額
- 「買い手」の氏名
必要があれば、レジや販売管理システムを、インボイス対応のものに改修します。
「買い手」には、インボイスの保管義務があります。
自社のどの書類をインボイスとして扱うかを「買い手」に伝えておかないと、「買い手」はどの書類を保管したらいいのか分かりません。
「買い手」に「うちはこの書類をインボイスとしているよ」ということを伝えるために、通知の方法を検討しておきましょう。
「買い手」の準備
会計ソフトのアップデート
仕入や経費の経理は、インボイスが有るものと無いものでは、違う経理処理をすることになります。
現状の会計ソフトでは、まだインボイス制度に対応しているソフトは出て来ていません。
今後、インボイス制度に対応した会計ソフトがリリースされますので、アップデートしておきましょう。
受け取ったインボイスの整理・保管方法の検討
インボイスがきちんと保管されていないと「仕入税額控除」ができず、消費税額が増えてしまいます。
紛失などが起こらないように、整理・保管方法の検討をしておきましょう。
まとめ:結構大変なインボイスの準備
インボイス制度について、今から準備できることについて解説しました。
とくに「売り手」の準備はやる事が多く、結構大変です。
今からどんな準備をすればいいか、しっかり確認しておきましょう。
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