法人化のメリット・デメリットを総まとめ【個人事業主の法人成り】

法人化のメリット・デメリットまとめ
URLをコピーする
URLをコピーしました!
ツタンカちゃん

個人事業主から法人成りすると、今までと何が変わるの?

個人事業主法人の違いは、主に下記の通りです。

内容個人事業主法人
社会保険国民健康保険・国民年金健康保険・厚生年金
税率超過累進税率
(最高55%)
2段階税率
(最高35%)
赤字の繰り越し期間3年10年
青色申告控除ありなし
家族への給料要件が厳しい要件が緩い
代表者への退職金支給できない支給できる
生命保険料経費にできない経費にできるものもある
交際費の限度額なし800万円
住民税の均等割りなし年間約7万円
住居の家賃家事按分で経費計上社宅として経費計上
(要件あり)
決算期12月自由に設定可能
経理簡易的な帳簿でもOK厳密な帳簿が必要
確定申告の難易度自分でも可能経験がないと難しい
信用力低い高い
資金調達能力低い高い
代表者の責任無限有限

上記の違いを、

  1. メリット
  2. デメリット
  3. どちらにもなるもの

に分けると、次の通りになります。

法人化のメリット
  1. 税率が下がる
  2. 赤字の繰越期間が延びる(3年⇒10年)
  3. 家族へ給料が払いやすくなる
  4. 代表者に退職金が払えるようになる
  5. 生命保険料を経費にできるようになる
  6. 決算期を自由に設定できる
  7. 信用力が高くなる
  8. 資金調達能力が高くなる
  9. 代表者が有限責任になる
法人化のデメリット
  1. 青色申告控除がなくなる
  2. 交際費の限度額ができる(800万円)
  3. 住民税の均等割りが年7万円必要
  4. 経理を厳密にしなければならない
  5. 確定申告の難易度が高くなる
  6. 定期的に役員登記が必要
メリット・デメリットどちらにもなるもの
  1. 社会保険料が健康保険・厚生年金に代わる
  2. 住居の家賃の計上方法が変わる

本記事では、上記の法人化によるメリット・デメリットを簡潔にまとめました。

スフィンクス所長

この記事を書いた私のプロフィールはこちら

目次

法人化のメリット

税率が下がる

法人の税率は、2段階構成になっています。

1段階目として、800万円まで利益については約22%。

2段階目として、800万円を超えた部分の利益については約35%

の税率が適用されます。

個人事業主としての税率は、稼いでいる人ほど税率が高くなる仕組みになっていて、最高税率は55%(所得税45%、住民税10%)です。

つまり、稼いでいる人ほど、税率が下がる恩恵を受けられるのです。

赤字の繰り越し期間が延びる

個人事業主でも法人でも、赤字が発生した場合は、翌期の利益と相殺が可能です。

(相殺の結果、利益がなくなれば、税金はかかりません。)

赤字を繰り越せる期間は、個人事業主が3年なのに対し、法人は10年と長くなっています。

関連記事:青色欠損金(繰り越し赤字)の有効活用方法4つ

家族へ給料を払いやすくなる

個人事業主が払う家族への給料は「青色事業専従者給与」※だけが経費にできます。

※家族が他の仕事をしていないなどの要件があります。
関連記事:【節税】家族給料を経費にする4つの条件【自営業・フリーランス】

法人が払う家族への給料は、仕事の対価として適正額であれば、基本的には経費にできます。

また、法人の役員になっていれば、特に仕事をしていなくても役員報酬を支払えます。(役員になっていれば、法人を監督する仕事をしていることになるため。)

代表者に退職金を支払える

「退職金」はあらゆる収入の中で、最も税金が優遇されています。

会社に溜まった利益を、役員退職金として支給すれば、わずかな税金で法人から個人にお金を移せます。

関連記事:老後資金の準備に最適!役員退職金の節税メリット4つ【経営者は必見!】

生命保険料を経費にできるようになる

個人として生命保険料を払う場合は、わずかな控除しかありません。

法人として生命保険料を払った場合は、保険の内容によっては保険料の全額を経費計上できます。

決算期を自由に設定できる

個人事業主の確定申告は、必ず2月16日~3月15日と決まっています。

この時期は必要な書類をまとめたり、税理士との打ち合わせが必要だったりと、忙しくなります。

法人の場合は決算期を好きな時期に設定できるので、本業が忙しい時期を割けて、確定申告を行うことができます。

信用力が高くなる

「個人事業主では取引をしてくれない」ことは、意外と多いです。

積極的に営業して新規顧客を獲得したいなら、法人の信用力が役に立ちます。

資金調達能力が高くなる

法人の場合は、個人事業主よりも銀行から融資を受けられる金額が多くなることも。

また、助成金についても法人の方が、金額・受けやすさの面で優遇される傾向があります。

(コロナの持続化給付金は、個人事業主100万円・法人200万円でした。)

代表者が有限責任になる

会社を設立すると、代表者は「自分が出資した金額」の範囲で責任を負います。

つまり、会社が失敗して多額の債務を負った場合でも、個人財産から支払う必要は有りません。

(個人事業主の場合は、事業が失敗すれば自分の財産から負担が必要です。)

ただし、金融機関からの借入金については、多くの場合は「代表者保証」が条件となっています。

「代表者保証」がついている借入金は、会社が返せなければ、個人財産から返していくことになります。

法人化のデメリット

青色申告控除がなくなる

青色申告控除は、個人事業主が青色申告をするだけで受けられる控除(最高65万円)です。

青色申告控除は、お金を使わなくても税金が安くなるので、とてもお得な控除です。

個人事業を廃業して法人成りすると、青色申告控除は受けられなくなります。

交際の限度額ができる

個人事業主の場合は、交際費は金額に制限なく経費にできます。(事業に関係するものであれば)

法人は、最大800万円までしか経費計上できません。

住民税の均等割りが必要

住民税の均等割りとは、法人が必ず納めないといけない住民税です。

自治体や資本金などによって払う額が変わりますが、最低金額は年7万円です。

経理を厳密にしなければならない

個人事業主の場合は、ある程度簡易な帳簿でも認められます。

法人の場合は、きっちりした帳簿を用意しなければいけません。

そのためには、会計ソフトの導入が必須になります。

確定申告の難易度が高くなる

個人事業主と比べて、法人の確定申告は難易度が高くなります。

作成する書類が多く、計算方法も複雑です。

中々ご自身で行うのは難しいと思いますので、税理士に外注するのが無難ですが、その分料金がかかってしまいます。

定期的に役員登記が必要

法人には、役員の任期が切れる都度、役員変更登記をする義務があります。(同じ人が再度役員になる場合も、登記が必要です。)

登記には、数万円の費用がかかります。

もし費用を節約したいなら、役員の任期を最長の10年にしましょう。

メリット・デメリットどちらにもなるもの

社会保険料が健康保険・厚生年金に代わる

会社を設立して役員になると、加入する社会保険が「健康保険・厚生年金」に代わります。

「健康保険・厚生年金」は、役員報酬の金額と連動して決まります。

つまり
  • 役員報酬を高く設定すれば、健康保険・厚生年金も高くなります
  • 役員報酬を低く設定すれば、健康保険・厚生年金も安くなります

役員報酬の金額次第で、メリットにもデメリットにもなることを覚えておきましょう。

住居の家賃の計上方法が変わる

自分が住んでいる賃貸住宅の家賃を経費計上する場合は、個人と法人で方法が違います。

個人の場合

自宅のうち、事業で使っている部分を経費計上できます。

たとえば・・・

自宅の面積のうち2割を事務所として使っているなら、家賃の2割を経費計上できる

法人の場合

社宅用として法人契約ができれば、家賃の5割~8割程度の経費計上ができます。

いくら経費計上できるかは、物件によって異なります。

経費計上できる割合は個人よりも多くなりますが、「社宅用として法人契約」ができなければ経費計上できません。

※法人契約できるかは住居のオーナー次第になります。

まとめ:個人事業主はメリット・デメリットを考慮して法人成りしよう

個人事業主が法人成りする場合は、上記のように様々なメリット・デメリットがあります。

一つだけの要因ではなく、様々な要因を総合して、法人成りをすべきか判断しましょう。

\ 法人化のご相談はこちら /

法人化のメリット・デメリットまとめ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェアでスフィンクスを応援
URLをコピーする
URLをコピーしました!
目次
閉じる