- 青色欠損金とは?
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青色申告をしている法人が出した赤字。税金計算上、利益と相殺ができる。
「青色欠損金」は払う税金に大きく影響します。
たとえば、
利益が1000万円出ていれば、通常は250万ほどの税金がかかりますが・・・
青色欠損金が1000万円あるなら、利益と相殺ができるので、税金はゼロです。
このように、青色欠損金は税金に大きく影響するので、経営者の方は是非覚えておいてください。
本記事では、この青色欠損金を有効活用する方法について、ご紹介します。
※この記事は法人を対象としています。個人事業主の損失の繰り越しは、「純損失の繰り越し」という別の制度があります。
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青色欠損金の残高を確認する方法
青色欠損金を有効活用するには、まず「いくら残高があるか」を調べましょう。
青色欠損金の正確な金額は、法人税の申告書で確認できます。
確認方法は次の2つです。
- 法人税の申告書の「別表一」で確認する
- 法人税の申告書の「別表七(一)」で確認する
別表一で確認する方法
会社の確定申告が終了したら、税理士から税務署に提出した申告書の控えをもらえます。
その中で、右上に「別表一」と記載されている書類を探してみてください。
別表一の右側の27番の欄「翌期に繰り越す欠損金又は災害損失金」に記載されている数字が、青色欠損金の残高です。
ただ、こちらの数字は青色欠損金の全ての合計が記載されており、詳細までは分かりません。
詳細は、「別表七(一)」という書類で確認します。
別表七(一)で確認する方法
右側に別表七(一)と記載されている書類を探してみてください。
別表七(一)では、青色欠損金の内訳が、発生年度ごとに分かります。
なぜ発生年度が重要なの?
発生から10年間で、青色欠損金は消えてしまうからです
10年経過すると青色欠損金のメリットが受けられなるので、発生年度も確認しておきましょう。
- H29.1.1~H29.12.31の事業年度が1,200,000円
- H30.1.1~R1.12.31の事業年度が1,500,000円
- R2.1.1~R2.12.31の事業年度が1,000,000円
- 合計で4,700,000円の青色欠損金の残高があります。
青色欠損金の有効活用1:欠損金の繰り戻し還付
- 欠損金の繰り戻し還付とは?
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青色欠損金を過去の利益と相殺し、過去に払った税金を還付してもらうこと
青色欠損金が発生した場合、1年前に払った税金を返してもらえる可能性があります。
税金を返してもらう条件は、次の2つです。
- 「青色欠損金が発生した事業年度」の1つ前の事業年度で、利益が出て税金を払っていること
- 還付請求書を提出すること
ただし、一つ注意点があります。
税務署は、税金返すことをめちゃくちゃ嫌がるので、還付請求をすると決算書や申告書を細かくチェックされます。
チェックでおかしなことが見つかったら、税務調査に入られるかもしれません。
還付請求は税理士と相談したうえで、行うようにしましょう。
青色欠損金の有効活用2:含み益がある資産の売却
青色欠損金は10年間の繰り越しが可能です。
つまり、青色欠損金が500万円あるなら、利益が500万円発生しても税金を払わなくて良いのです。
本業で利益を出すのが一番良いですが、思うようにいかないこともあります。
そんな時におすすめなのが、資産の含み益を確定させ、意図的に利益を出す方法です。
青色欠損金がある状態なら、「売却益」が発生したとしても税金がかかりません。
株式や投資信託を持っている方は、多額の含み益が発生しているかも。
相場を見ながら、良いタイミングで含み益のある資産を売却し、青色欠損金を有効活用しましょう。
保有している株式が「売買目的有価証券」に該当する場合は、事業年度末ごとに時価評価し、含み益に課税されるのでご注意ください。
青色欠損金の有効活用3:中小企業倒産防止共済の解約
倒産防止共済は、払った金額の全額が経費になります。
そして、一定期間掛け続ければ、元本割れもしません。
そのため、節税対策としてよく使われる方法ですが、一点問題があります。
倒産防止共済を解約すると、返戻金が全額利益になる
ことです。
掛け金を払っている期間が長いほど、返戻金も多くなります。
返戻金を受け取ると、多額の利益が発生し、税金も沢山とられてしまいます。
ただし、青色欠損金があるタイミングで倒産防止共済を解約すると、「青色欠損金」と「返戻金の利益」が相殺できるので、税金を抑えることができます。
青色欠損金の有効活用4:広告宣伝費の縮小
広告宣伝費は、将来の売上獲得のために必要不可欠な出費です。
そのため、多額の広告費をかけた結果、利益があまり出ていない会社もあると思います。
このような会社は、広告費を縮小するだけで、目先の利益を出せるかもしれません。
※長期的に売上を増やしていくには広告費は必要ですが。
青色欠損金は「10年」という期限があります。
もし、期限が切れそうな欠損金があるなら、「とにかく目先の利益を出して、青色欠損金を使い切る」ことも戦略のひとつです。
まとめ:青色欠損金を計画的に使おう
まずは現在の青色欠損金がどれくらいあるか確認してみましょう。
そのうえで、10年の期限が切れる前に、計画的に青色欠損金を使って税金を安くしていきましょう。