法人化を考えているけど、分からないことばかりで不安・・・
- 法人化を考えているけど少し不安。
- 法人化して失敗した事例を知っておきたい。
今回はこのお悩みにお応えするために、個人事業主が法人化して失敗してしまった事例を5つ紹介します。
法人化すると個人事業主に戻るのは難しくなります。
失敗事例を参考にし、同じ失敗をしないように注意しましょう。
この記事は多数の個人事業主の法人化を支援してきた税理士が、実際にあった事例を参考にして書いています。
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維持コストが節税額より大きくなった事例
事前のシミュレーションが甘くて、節税額よりもコストが大きくなってしまった事例です。
(事例1)Aさんのケース
- 個人事業主として事業をしていたが、売上が1000万円を超えて法人
- 法人化する理由は2年間消費税を納めなくていいから
(結果)
法人化により消費税を約200万円節税できましたが、社会保険料の支払が年間60万円も発生!
数年で節税できたお金を使い切ってしまいました。
節税目的で法人化するケースは多いです。
特に消費税が2年間免除になるインパクトは大きく、売上が1000万円を超えてすぐに法人化する方も。
たしかに2年間消費税が免除になると、場合によっては数百万円違いますので、消費税の免除目的で法人化するお気持ちも分かります。
ただし法人化には色々な費用がかかります。
- 社会保険料
- 住民税の均等割り
- 税理士費用
この中で最も大きい負担は社会保険料。
年収400万円の社員を一人雇うと、年間で約60万円も払わないといけません。
※自分の役員報酬にも社会保険料がかかります。
仮に2年間で消費税が200万円節税できたとしても、数年で節税できた金額がなくなってしまいます。
そんなに社会保険料が大きいなら、法人化は絶対損じゃない?
高所得者にとって所得税の負担は物凄く重いです。所得税の負担も考えるなら法人化が得になるケースも多いです。
2年間の消費税免除だけに注目して法人化した
- 法人の維持コストを知っておく
- 所得税の節税額も考慮してシミュレーションする
関連記事:個人事業主が法人化する基準は売上1,000万円か?
従業員の社会保険料は事業主にとって重い負担になりますが、法人化を利用して事業主自身の社会保険料を節約する方法があります。
関連記事:個人事業主がマイクロ法人を作る4つのメリット【社会保険料の削減や節税も!】
社会保険料を2年間遡って徴収された事例
社会保険料を誤魔化していたら、見つかって2年分の社会保険料を払うことになった事例です。
(事例2)Bさんのケース
法人化したものの想定外に社会保険の負担が重く、従業員がいないように見せかけ、社会保険料を誤魔化していた。
(結果)
年金事務所の調査で不正が発覚。過去2年分の社会保険料を払うことになった。
上述の通り、社会保険料の負担はとても重いため、誤魔化そうとする方も・・・
社会保険料は、適正に手続きがされているかをチェックする年金事務所の調査があります。
この調査で不正が発覚した場合は、過去2年間にさかのぼって社会保険料を払うことに。
Bさんの会社は、従業員2人分の社会保険料の2年間分、約150万円を支払いました。
また、本来は給料から天引きする本人負担分の社会保険料、約150万円についても、今更本人からは徴収できないということで、Bさんの会社が負担することになりました。(合計300万円)
社会保険料を誤魔化せると思っていた
法人化した以上は社会保険には必ず加入する
借金をしすぎて破産してしまった事例
法人化で調子に乗ってお金を借り過ぎてしまい、返せなくなってしまった事例です。
(事例3)Cさんのケース
ネットショップを複数展開し、いけいけ状態。さらなる事業の拡大を目指して法人化
(結果)
Cさんの能力の高さや将来性に目をつけた銀行が次々にお金を貸しにくる。
Cさんは早く事業を大きくしたかったので、借りられるだけ借りてしまった。
結果、会社の規模に見合わない多額の借金を抱え、資金繰りが厳しくなり破産。
法人化すると対外的な信用力が高まるので、銀行から借金できる金額も大きくなります。
たくさん借金できることは、早く事業を大きくしたい方には大きなメリット。
ただし、事業の規模に見合わない多額の借入れをしてしまうと、資金繰りが厳しくなってしまいます。
多額の借入で資金繰りが厳しくなる理由
借りたお金を新規事業に投資しても、事業が軌道に乗り利益が出るまでには時間がかかります。
その間も借金は返済していかないといけません。
つまり、お金が入らないのに借金を返さないといけない状態になり、その状態が長ければ長いほど資金繰りが苦しくなります。
じゃあいくらまでなら借りてもいいの?
現状でどれくらいの利益が出ているか。預金はどれくらいあるか。によって変わってきます。大事なのは事業の規模に見合う借金にすることです。
法人化で銀行からお金が借りやすくなり、借りれるだけ借りてしまった
銀行借入は事業の規模に見合う適正額にする
高額で株式を買い取らないといけなくなった事例
友人に会社の株主になってもらった結果、後で株式を高い金額で買い取ることになった事例です。
(事例4)Dさんのケース
法人化の際に資金に不安があったことから、友人に少しお金を出してもらいました。
Dさん70万円、友人30万円を会社に入れました。
(結果)
会社は順調に業績が良くなりましたが、数年後友人から株式の買い取りを求められました。
友人と株式の買取価格でもめてしまい、結局300万円で買い取ることになりました。
会社設立のルールとして、まず個人のポケットマネーから会社にお金を入れることになっています。
この最初に会社に入れるお金を「資本金」といいます。
この資本金を出した割合がそのまま、株式を所有する割合(会社を支配している割合)です。
事例の場合、Dさんは70% 友人は30%の株式を持っていることになります。
会社が順調に成長していくと、株式の価値はどんどん高くなってきます。
友人からすれば、「それだけ儲かっているなら高い金額で買い取って欲しい」と考えるのも当然です。
Dさんからすると、最初に全額資本金を出しておけば、株式はすべて自分のものでした。
それが友人ともめてしまった挙句、高いお金で株を買い取らないといけないという散々な結果になってしまいました。
会社設立の際に友人にお金を出してもらった
会社設立の際に全額自分でお金を出す
友人にお金を出してもらうのは、もめる種です。極力避けましょう。
税務調査で追徴金をたんまり取られた事例
個人事業主時代と変わらず、ずさんな経理をしていて税務調査で指摘された事例です。
(事例5)Eさんのケース
事業が順調で、利益もかなり出ていたため法人化。経理は個人事業主時代と変わらずざっくり。申告だけ税理士に頼んでいた。
(結果)
税務調査で売上の漏れや、経費にしてはいけないものを経費にしたことが発覚
追徴金をたくさん持っていかれた。
会社にすると、個人事業主の時よりもきちんとした帳簿をつける必要があります。
そして帳簿がきちんと付けられているかチェックする「税務調査」は会社の方が入りやすいです。
もし税務調査で間違いが発覚したら、本来払う税金に加えて追徴金も払わないといけません。
Eさんの場合は、売上も誤魔化してしまっていたので本来の税金100万円に加えて50万円もの追徴金も払うことになりました。
法人化してもざっくりした経理を続けてしまった
税理士に頼んで帳簿をみてもらう
失敗しないためのまとめ
個人事業主から法人化した場合の5つの失敗事例を紹介しました。
事例から学ぶ失敗しないまとめは次の通りです。
- 法人化の維持コストを知る
- 消費税だけでなく、所得税も含めて節税のシミュレーションをする
- 法人化したら必ず社会保険に入る
- 事業の規模に見合わない借入をしない
- 会社設立時は自分で全額お金を出す
- 税理士に帳簿を見てもらう
また、今回紹介した失敗は税理士がブレーキをかければすべて防ぐことができます。
信頼できる税理士を見つけることも大切です。
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