経営者はリスクと隣り合わせ。
だからこそ、大きく稼ぐこともできます。
でも、できることならリスクは避けたいものです。
今回の記事では、経営者が遭遇するリスクと、その対処方法(リスクマネジメント)について解説します。
- 経営者にはどんなリスクがあるのか
- リスクの可能性を最小限にする方法
名前:スフィンクス(税理士)
税理士業界で、10年間経験を積んだのち独立。
小規模事業者の経営支援や、法人化コンサルを中心に活動中。
競合他社の参入リスク
競合他社の参入は、安定してきた事業を脅かす大きなリスクです。
もし、競合他社と顧客の取り合いになると
- 既存の顧客を奪われる
- 価格競争になり単価が下がる
と、良いことがありません。
<競合他社の参入リスクの例>
地域に密着した税理士として営業してきたが、同じ地域に安さを売りにした税理士法人ができた。
このようなリスクの対策法はこちら。
希少性の高い事業をすること
希少性が高い事業であれば、顧客はあなたの商品やサービスのファンになってくれるので、顧客の取り合いになりません。
また、真似がしずらいため、価格競争にも巻き込まれず、高い報酬を得ることも可能です。
- 独自の商品やサービスで差別化する
- 発信方法で差別化する
スモールビジネスで価格勝負をするのは分が悪いです。競合との差別化を狙っていきましょう。
関連記事:報酬は責任ではなく、希少性に比例する【プレッシャーから逃げるのもあり】
自社商品やサービスの陳腐化リスク
- 陳腐化とは?
-
時代遅れになってしまうこと
今の時代、もの凄いスピードで技術やサービスが進歩しています。
今まで当たり前に存在していた商品やサービスが、なくなってしまうことも。
<陳腐化リスクの具体例>
税理士の主力業務として、帳簿の入力を代行する業務(記帳代行)があります。
しかし、最近ではAIによる自動経理が可能になりつつあります。 今後、記帳代行しかできない税理士は、確実に淘汰されていきます。
このような陳腐化リスクの対策法はこちらです。
- 情報収集を怠らず、陳腐化に早く気づく
- 新しい商品やサービスのヒントを探しておく
- ひとつの事業が陳腐化してもいいように、複数事業をする
常に時代の変化に耳を傾け、自身の商品やサービスが陳腐化していないか、チェックしておきましょう。
取引先の倒産リスク (B to B 事業)
自社は順調でも、取引先(お客さんの会社)が倒産して、危機的な状況に陥ることがあります。
なぜ取引先が倒産したら、自社も危ないの?
その理由は、2つあります。
- 売上の大部分を一社に依存している場合は、売上が激減する
- 売掛金(未収金)が回収できなくなる
B to B事業は、売上を大手企業一社に依存していることが良くあります。
もし、その企業が倒産してしまったら売上のほとんどを失ってしまうことになります。
また、倒産寸前の会社は、売上金を中々支払ってくれません。
倒産してしまったら、売上金の回収は困難です。
資金繰りも、危機的な状況に陥ります。
- 売上を一社に依存せず、多くの取引先を確保する
- 倒産防止共済に加入する
<倒産防止共済とは>
取引先が倒産したときに、無担保、無保証で掛金の10倍まで借入ができる共済です。
掛金は支払った時の経費になるので、節税としても使えます。
従業員のリスク
従業員を雇うことによって、次のようなリスクが発生します。
- 売上が減っても、解雇や減給が難しい
- 従業員が突然退職・休職し、仕事が回らない
- 一人前になった社員が退職し、また採用コストと人材育成コストがかかる
- 未払い残業代を請求される
従業員は、自分の代わりに利益を生み出してくれる「資産」となりますが、場合によってはコストがかかる「負債」にもなりえます。
従業員が「負債」になってしまう可能性も考慮して、従業員を増やすのは慎重に検討した方がいいかもしれません。
- 従業員は最低限にしておく
- 外注で対応する
- コンプライアンス(法律)を守る
従業員のリスクを回避するには、従業員を最低限にしておくしかありません。
そして従業員を雇うなら、法律(労働基準法)は守った方がいいです。
法律を守っていないということは、「従業員を大切にする意思がない」と言っているのと同じ。
当然、従業員からの信頼は失われます。
そのような会社ほど、従業員は「利益を生み出す資産」ではなく「コストがかかる負債」になります。
税務調査のリスク
- 税務調査とは?
-
税務署に税金の計算で不正がないかチェックされる調査
ある日突然、税務署から電話がかかってて恐怖することになります。(現金商売の方は、いきなりお店に来られることも。)
税理士に頼んでいる場合は、税理士に連絡が来ます。
今まで、税務調査で痛い目にあった方をたくさん見ましたが、みなさま次のような考えをお持ちでした。
- とにかく目先の税金を減らしたい
- 税務署に言われたら、その時直せばいい
残念ですが、上記の考えには大きな落とし穴があります。
それは追徴税(ペナルティの税金)の存在です。
仮に毎年100万円の税金を誤魔化していた時に、最悪のケースでどれくらい税金がかかるのか試算してみました。
<具体例>
売上を隠ぺいし、税金を毎年100万円誤魔化していた。
本来の税金 | 100万円×7年=700万円 (隠ぺい行為をしたら7年遡る) |
重加算税 | 約250万円 |
延滞税 | 約250万円 |
追徴税の合計 | 約500万円 |
上記の通り本来700万円だった税金が、追徴税500万円を合わせると約1,200万円にも跳ね上がります。
「単なる計算間違い」と「意図的な脱税」は、追徴税の取り扱いが全く違います。
意図的な脱税かどうかは、「仮装行為や隠ぺい行為」があったかどうか。
「単なる計算間違い」の場合は、本来の税金は3年分だけ。延滞税は1年分。重加算税なし。と大分ペナルティは少なくなります。
経営者にとって、税金は売上に貢献しない無駄なお金。
そんな税金で、さらにペナルティを何百万円もとられるなんで、馬鹿馬鹿しすぎます。
こんな悲惨なことにならないための対策はこちらです。
- 経理をきちんとしておく
- 売上の隠ぺいや、架空の経費は絶対ダメ
- 税理士に頼んでおく
健康リスク
個人事業主や経営者は、体が資本です。
健康上の事情で働けなくなったら、収入がストップしてしまいます。
健康リスクの対策は
- 健康に気をつける
- 保険に加入しておく
という方法になりますが、これだけでは当たり前すぎて面白くありませんので、
上記に加えて、「ストック収入の確保」という方法もお勧めします。
- ストック収入とは?
-
自分が行動しなくても、得られる収入
ストック収入があれば、健康上の問題で働けなくなっても、収入を得ることが可能です。
- 現在のビジネスを、自分がいなくても回る仕組みにする
- 現在のビジネスで稼いだお金を、投資に回す
ストック収入が生活費を上回ったとき、お金と時間から自由になります。
人生のリスク
最後のリスクは「人生のリスク」です。
ここでいう人生のリスクとは、「楽しく人生を生きられないリスク」を言います。
経営者は自分のエネルギーの全てを、自分の事業に注ぎがち。
でも仕事はいつか辞めるときが来ます。
- 肉体的にしんどくなった
- 精神的につらくなった
- 時代についていけなくなった
- 仕事をしなくても生きていける
人生のほとんどを仕事にささげた人は、仕事がなくなるとどうなるのでしょうか?
内館牧子さんの小説「終わった人」のように、毎日テレビを見る、散歩をする、そして妻にウザがられながら生きていくのでしょうか。
「人生の仕上げの時期に、楽しく生きられない」というリスクは、何としても避けたいです。
今のうちに一生できる趣味を3つ見つける
趣味を新しく始めるなら、エネルギーがある若い方が有利です。
その理由は、今のうちに始めた趣味なら、ある程度のレベルまで上達するから。
当然、上達している方が楽しいですし、趣味を通じた人間関係も広がりやすいです。
逆に年を取ってしまうと、新しい事を始めるのは億劫になりますし、若者にまじってスクールやサークルに通うのは、気が引けるかもしれません。
なんで3つ必要なの?
3つにしたのは、違ったタイプの趣味を持ち、バランスよく人生を楽しむためです。
- 一人でできる趣味
- 仲間とできる趣味
- 身体を動かす趣味
それぞれ、一つずつ趣味を持つのがおすすめです。
まとめ:経営者のリスクを知り、対策しよう
経営者におこりうるリスクを紹介しました。
どのようなリスクが起こるか知っておくと、自分の事業スタイルも良い方向に改善していけます。
ぜひ参考にしてくださいね。