ビットコインで500万儲かったよ!
めんどくさいけど確定申告しなきゃ!
ツタンカちゃんの所得だったら、税金は大体200万くらいですね。
・・・・・(絶句)
- ビットコインなどの仮想通貨に投資をしている方
- これから仮想通貨に投資をしようとしている方へ
確かに短期的に大きなリターンを狙える仮装通貨は、魅力的です。
ただし、税金という「巨大な落とし穴」があることを忘れてはいけません。
今回は「ビットコインの税金がなぜヤバいのか」についてお話します。
名前:スフィンクス(税理士)
税理士業界で、10年間経験を積んだのち独立。
小規模事業者の経営支援や、法人化コンサルを中心に活動中。
ビットコインの売却益は雑所得
所得税は、収入をいくつかの種類に分類し、それぞれ違った計算方法で税金を計算します。
例えば
- 株式や投資信託の売却益は「譲渡所得」
- ビットコインの売却益は「雑所得」
となります。
この2種類の所得の違いは、下記の通りです。
譲渡所得 (株式や投資信託) | 雑所得 (ビットコイン) | |
---|---|---|
所得税の税率 | 15.315% (固定) | 他の所得と合算後、超過累進税率 |
住民税の税率 | 5% | 10% |
売却損の 相殺と繰越 | 可能 | 不可 |
結論から言うと、「税率が高い」「売却損の相殺と繰越ができない」という点で、雑所得は税金が高くなります。
具体的に見ていきましょう。
ビットコイン(仮想通貨)は超過累進税率で税金を計算
株式や投資信託の売却益には、15.315%の所得税がかかります。
税率は、誰でも一律15.315%で同じです。
それに対して、ビットコインの売却益に適用される税率は、人それぞれ違います。(超過累進税率と言います。)
こちらが超過累進税率の税率表。
所得 | 税率 | |
---|---|---|
A | 195万円以下の部分 | 5% |
B | 195万円~330万円の部分 | 10% |
C | 330万円~695万円の部分 | 20% |
D | 695万円~900万円の部分 | 23% |
E | 900万円~1,800万円の部分 | 33% |
F | 1,800万円~4,000万円の部分 | 40% |
G | 4,000万円~の部分 | 45% |
計算方法は、所得を「AからGに細かく分けて」それぞれ違う税率で、税金を計算します。
例)所得が500万円の人
- 195万円以下の部分⇒5%
- 195万円~330万円の部分⇒10%
- 330万円~500万円の部分⇒20%
上記のように所得を細かく分けて、税金を計算する
超過累進税率は、所得が高いゾーンほど税率は高くなります。
お金持ちに優しくない制度だね。
そして、さらに良くないことに、給与所得、不動産所得、事業所得、一時所得、雑所得は全て合計して超過累進税率が適用されます。
例えば、給与所得が1,000万円、雑所得(ビットコインの売却益)が500万円だとすると、税金は下記のようになります。
ビットコインで儲けた額の33%(上記の場合は、165万円)も税金がかかるのね
残念ながら、それだけではすみません。
住民税も高いビットコイン(仮装通貨)
ビットコインの売却益は、住民税にも影響します。
確定申告で納める税金は、「所得税」です。
所得税とは別に払わないといけない税金が「住民税」
住民税の払い方は
- サラリーマンなら、会社から毎月給料から天引き
- 自営業なら、役所から納付書が送られてきて自分で払う
と、なりますがビットコイン(仮想通貨)の売却益があるなら、上記に「売却益の10%分の住民税」が上乗せされます。
例)500万円の売却益なら50万円
株式や投資信託の売却益にかかる住民税は5%です。
また、特定口座で取引している場合、通常は売却収入から住民税が天引きされているので、追加で住民税を払うことはありません。
- ビットコインの住民税⇒売却益の10%を払う
- 株式や投資信託の住民税⇒売却益の5%が既に天引き済み(追加で払うことはない)
また、サラリーマンなら、会社に雑所得の存在がバレる可能性あり。
ばれないようにするには、確定申告で一工夫が必要です。
売却損の相殺と繰越ができない
売却損の相殺ができない
投資をしていると、売却損が出てしまうこともありますよね。
株式や投資信託の売却損は、売却益と相殺が可能。
例)A株式:100万円の売却益
B株式:50万円の売却損
100万(益)-50万(損)=50万 ⇒50万円分だけ税金がかかる
特定口座(源泉徴収選択)で株式や投資信託を運用しているなら、証券会社が勝手に相殺してくれています。
ところがビットコインの売却損は、株式や投資信託の売却益と相殺ができません。
例)A株式:100万円の売却益
ビットコイン:50万円の売却損
A株式の売却益100万円すべてに、税金がかかる(株式と相殺不可)
※ほかの仮装通貨の売却益とは相殺できます。
売却損の繰越ができない
投資をしていれば、得をする年もあれば、損をする年もあります。
投資で損をしてしまった人の救済措置が、売却損の繰越制度。
株式や投資信託で損をしても、救済措置として売却損を3年間繰り越すことができます。
例)株式や投資信託の場合
- 2020年:50万円の売却損
- 2021年:30万円の売却損
- 2022年:100万円の売却益
2022年⇒100万円-50万円-30万円=20万円 に税金がかかる
ところが、ビットコインの売却損は、この救済措置が使えません。
ビットコインで売却損が出た場合の税金は、次のようになります。
例)ビットコインの場合
- 2020年:50万円の売却損
- 2021年:30万円の売却損
- 2022年:100万円の売却益
2022年⇒100万円すべて に税金がかかる
なぜ、このように理不尽な制度なのか
ビットコインが国に嫌われている、という訳ではありません。(たぶん
ビットコインが税金上ものすごく不利になっているのは、法整備が追いついていないから。
比較的新しい投資のFXも、最初は売却損の繰り越しができませんでした。
投資手法としてメジャーになってきた2012年に、3年間の売却損の繰り越しが可能に。(株の売却益との相殺は今もできませんが・・・)
将来的には、仮想通貨も売却損が繰り越せるようになるかもね。
結論:ビットコインで勝つのは難しい(コスト面で)
株式や投資信託と比較して、ビットコインの税金はものすごく高いです。
税金は投資のコスト。
コストが高くなるほど、投資で勝つのは難しくなります。
ビットコインの値が低い時に購入された方は、先見の明があって素晴らしいですね。
そしてビットコインの値が既に上がってしまった今、手を出すのは明らかにギャンブルです。
コストが高いギャンブル、私は勝てる気がしませんが、みなさまはそれでもビットコインを買われますか?