「freee」って「マネーフォワード」と比べてどうなの?
今回は会計ソフト「freee」を使うメリット・デメリットについて、解説していきます。
まずは、freeeのメリット5つはこちらです。
- 電子申告がfreeeだけで完結する【個人のみ】
- 確定申告の案内が親切【個人のみ】
- 消費税申告書の作成機能がある
- 連続取引登録機能で手打ちでも高速入力可能
- スマホ撮影からの仕訳作成が楽
続いて、freeeのデメリットはこちらです。
- 銀行口座・カードの同期エラーが多い
- 同期のタイミングが遅い
- 楽天銀行と連携ができない
- 自動仕訳の一括登録ができない
- 解約した場合に閲覧制限がかかる
- 消込機能の予測がダメ【売上を連動させている方のみ】
メリット・デメリットを解説するにあたって、ライバルである「マネーフォワード」と徹底比較をしました。
本記事を読むと、「どちらの会計ソフトが自分に合っているか?」が分かります。
名前:スフィンクス(税理士)
税理士業界で、10年間経験を積んだのち独立。
小規模事業者の経営支援や、法人化コンサルを中心に活動中。
私の詳しいプロフィールはこちらです。
freeeのメリット5つ
freeeだけで電子申告が完結する【個人事業主のみ】
freeeを使っていれば、freeeがe-taxとの仲介役をしてくれます。
そのため、「e-taxソフト」や「確定申告書作成コーナー」などの外部ツールを使う必要がなく、freeeだけで電子申告が完結します。
<e-taxソフトとは?>
国税庁が出している公式の電子申告ツール。
使用者のこと考えていない残念なシステムで、超使いにくい。。。
<確定申告書コーナーとは?>
こちらも国税庁公式の確定申告書作成ツール。
e-taxソフトより使いやすいものの、青色決算書の手入力が必要で、無駄手間が発生する。
freeeを使えば上記の外部ツールを使う必要がないので、無駄なく最短距離での電子申告が可能です。
<マネーフォワードでの電子申告>
マネーフォワードだけでは、電子申告は完結できません。
マネーフォワードから出力したデータをe-taxソフトに読み込ませるか、「確定申告書作成コーナー」にて手入力で青色決算書を入力する必要があります。
※税理士がついているなら、このあたりは税理士がやるので、気にする必要はありません。
確定申告の案内が親切【個人事業主のみ】
freeeは、確定申告の案内がとても親切です。
〇×形式で質問に答えていけば、漏れがなく申告書作成ができるように設計されています。
確定申告書に慣れてない人にやさしい機能ね
ちなみにこちらがマネーフォワードの確定申告の作成画面です。
マネーフォワードは〇×形式ではなく、「自分で該当するものを選んで入力する仕組み」になっています。
うっかりしていると控除の入れ忘れをしてしまいそうです。
消費税の申告書の作成機能がある
freeeでは、消費税の申告書を作成できます。
マネーフォワードでは、消費税の集計機能は有るものの、申告書の作成はできません。
消費税の課税事業者で、自分で申告書を作成したい方は、freeeを使うメリットが大きいです。
日々の取引の消費税区分を正しく入力しておかないと、正しい消費税の申告書は作成できません。
消費税区分に不安がある方は、税理士に依頼する方が無難です。
※追記
2022年6月からマネーフォワードにも消費税申告機能が搭載されました。
連続取引登録機能で、手打ちでも高速入力可能
「連続取引登録機能」は、手入力のための機能です。
この機能を使えば、手入力が必要な領収書などを高速で入力できます。
現金払いの経費など、手入力が必要な経費が多い方には、大変おすすめの機能です。
また、簿記の知識がない方でも簡単に入力できるように設計されています。
マネーフォワードにも同等の機能(簿記の知識がない方用の機能)は有りますが、少しごちゃごちゃしているので、freeeより入力に時間がかかります。
現金払いの領収書がたくさんあって、簿記の知識がない人はfreeeの方がいいかも。
スマホ撮影からの仕訳作成が楽
freeeでは、レシートなどをスマホで撮影して、簡単にデータを登録することができます。
具体的な方法は
- freeeのモバイルアプリをダウンロードする
- アプリからカメラを起動し、レシートを撮影
- 摘要(支払先など)を入力
だけで、OKです。
日付、金額、勘定科目は、freeeが自動で読み取ってくれることが多いです。(読み込めなければ、入力が必要。)
マネーフォワードには、スマホ撮影機能はないの?
マネーフォワードでも、スマホ撮影でデータ入力はできます。
ただし、マネーフォワードの場合は「経費精算アプリ」がスマホ撮影機能を担当しているため、
- 経費精算アプリをインストールする
- 経費精算アプリでスマホ撮影
- 経費精算を申請
- 経費精算を承認
- 経費精算アプリと会計ソフトを連動
という手間が、間に入ってしまいます。
なので、スマホ撮影で取引を入力をしていきたい方は、freeeの方が使い勝手が良いです。
freeeのデメリット6つ
銀行口座・カードの同期エラーが多い
freeeでは、口座やカードの同期エラーが起きやすいです。
同期エラーが起こると、データの取り込みが一切できません。
freeeでは同期エラーが頻繁に起こるため、エラーが起きていないかの確認がしょっちゅう必要です。
もしエラーが起きていれば、再連携するなどして、対応する必要があります。
最低でも1ヶ月に1回はfreeeを開いて、同期エラーが出てないか確認しましょう。
マネーフォワードでは、同期エラーはほとんど起きません。
私の感覚では、freeeは月1回程度は同期エラーになりますが、マネーフォワードは半年に1回程度しか同期エラーになりません。
同期のタイミングが遅い
freeeはマネーフォワードに比べて、同期のタイミングが遅いです。
「何週間も前のデータが、まだ入ってきていない」なんてことはザラにあります。
対してマネーフォワードでは、常に最新のデータが同期されるようになっています。
こまめにデータを登録したい方にとっては、マネーフォワードの方がストレスなく使えるでしょう。
楽天銀行と連携ができない
freeeでは、2022年2月以降は楽天銀行との口座連携ができなくなりました。
もしfreeeで楽天銀行の明細を入力する場合は、
- 手入力する
- 楽天銀行のcsvデータの明細を加工し、freeeにインポートする
の2択になります。
いずれにしても、かなりめんどくさくなるので、楽天銀行ユーザーはマネーフォワードを使うのが無難でしょう。
自動仕訳の一括登録ができない
銀行口座から同期したデータは、「登録」することで、帳簿に記録されます。
freeeでは、「登録」は一括ではできず、ひとつずつしていかないといけません。
地味にめんどくさいね・・・
マネーフォワードでは同期データの「一括登録」が可能です。
そのため、自動仕訳の登録は「マネーフォワード」の方が、圧倒的に早いです。
有料プランを解約した場合に、閲覧制限がかかる
有料プランを解約すると、自動的に無料プランに切り替わります。
freeeでは、無料プランに切り替わると、過去1ヶ月間のデータしか参照できません。
過去のデータを確認したいときに困りますので、
解約するなら必ず、仕訳データ・総勘定元帳・試算表などをエクスポートしておきましょう。
マネーフォワードでは、無料プランでも過去データの参照が可能です。
消込機能の予測がダメ【売上を連動させている方のみ】
freeeには、消込の予測機能が搭載されています。
ただ、予測機能の精度がイマイチで、freeeを信頼すると間違って仕訳登録をしてしまいます。
<具体例>
A社への売上:100円
B社への売上:80円
銀行口座に、B社からの入金が80円あった
上記のような事例の場合は、入金80円はB社からの入金と処理して欲しい所です。
が、freeeのAIは「入金80円はA社からのもので、売上との差額は値引きである」という処理を勝手にしてしまうことがあります。
間違った消込になっていないか、チェックが必要です。
freee・マネーフォワードどっちがいい?
freeeとマネーフォワードを比較すると、freeeの方が優れているところもありますし、劣っているところもあります。
なので、どちらの会計ソフトを使うかは、「何を重視するか」で決めるのが良いと思います。
口座連携のストレスを感じたくないなら
同期エラーが起きにくい「マネーフォワード」がおすすめです。
こまめに帳簿をつけたいなら
同期のタイミングが早い「マネーフォワード」がおすすめです。
事業用口座に楽天銀行を使いたいなら
楽天銀行と同期が可能な「マネーフォワード」がおすすめです。
税理士に頼らず、自分で電子申告まで完了させたいなら
確定申告の案内が親切で、単体で電子申告が完結する「freee」がおすすめです。
家計簿の感覚で、帳簿をつけたいなら
簿記の知識がなくても簡単に入力できる「freee」がおすすめです。
現金払いの領収書が多く、ぐちゃぐちゃになりやすいなら
簡単にスマホ撮影から取引入力ができる「freee」がおすすめです。
結論:メリット・デメリットを知ってから選ぼう!
freeeとマネーフォワードは似ているようで、全然ちがう会計ソフトです。
両者のメリット・デメリットを比較して、自分にあった会計ソフトを選びましょう。
悩むならまずは無料プランで両方使ってみてから、検討するのも良いと思います。